映画寸評 その2



2008年2月16日更新

映画「空軍大戦略」
DVDにて鑑賞。
MGM 1969年作品。
ファミリーマートで\1,000-で発売されているのをみて思わず購入。
むかし子供の頃に見て、興奮したのを思い出しました。
この映画、製作当時にまだ残っていた実機を使って撮影が行われました。
英国空軍のホーカー・ハリケーンにスーパーマリン・スピットファイア。そして敵国ドイツ空軍のメッサーシュミットBF109、ハインケルHe111も全て実際にパイロットが乗り込んで飛んでいるのです。
勝利国であった英国空軍の機体は残っている事は判るものの、敗戦国ドイツの機体が何故?
実はこれらの機体はドイツと同盟を結んでいたスペイン空軍のものなのだそうです。
スペインはドイツと同盟は結んでいたものの、第二次世界大戦には参戦しませんでした。
その為、運よく機体は生き残ったのでした。
さすがにエンジンだけは別物で、オリジナルのダイムラーベンツDB601ではなくイスパノスイザエンジンなので機種の形が違うのだけが残念な点でしょうか?
いまのSFXの映画に比べ、実物のみが持つ迫力を感じます。


映画「太平洋の翼」
DVDにて鑑賞。
東宝の戦争映画。1963年作品。
特技監督としてあの円谷英二監督も参加している戦争映画。
さすがに実機を使った「空軍大戦略」に比べると空戦シーンはイマイチなのは仕方ないと思います。
終戦間際に愛媛県松山基地に実在した日本帝国海軍最強の戦闘機部隊343航空隊を基にした話です。
隊長であった源田実の他、鴛淵大尉、林大尉、菅野大尉をモデルにしたらしい人物が登場します。
小学生の頃、テレビで見た記憶があるのですが、物語の後半は、意外にも正確に覚えていました。
いまのお涙頂戴式の戦争映画に比べると、実にあっさりした感じですが、むしろ、この方が心に響くものがあります。
子供の頃には見えなかったものが、大人になり、父親になりして見えてきたと言う事なのでしょうか?

父は当時松山に住んでおり、実機を見ていたそうで、零戦に比べると、離陸時の速度がまったく違ったそうです。
また、当時中学生だった伯父は、松山基地の厚さ30センチもあるコンクリート製の掩体壕作りに駆り出されていたそうです。
そんな話から、この映画、随分むかしに見てからもずっと気になっていた作品でした。


映画「太平洋奇跡の作戦 キスカ」
DVDにて鑑賞。
東宝の戦争映画。1965年作品。
こちらも特技監督としてあの円谷英二監督も参加している戦争映画。
更に、ウルトラマンでハヤタを演じた黒部進さん。イデ隊員を演じた二瓶正也さん。ウルトラセブンでソガ隊員を演じていた阿知波信介さんが出ていてちょっとビックリしました。

玉砕と言う名の全滅作戦ばかりを演じた日本軍が、唯一成功させた奇跡の撤退作戦を映画化した作品です。
ミッドウェー作戦の支援作戦として行われた北方作戦で占領したアリューシャン列島のアッツ島、キスカ島は、アメリカ本土に最も近い占領地でした。
その為、アメリカ軍はその威信をかけて奪回を試みます。結果、アッツ島の守備隊は全滅し、キスカ島にも運命の日が迫ります。
そんな中、北方作戦部隊の第5艦隊による撤収作戦が開始されます。
実績の無い大竹少将(実際は木村昌福少将)は、濃霧を唯一の武器として救出作戦を計画し、一度は霧が晴れた為に救出を断念して反転帰投し、全海軍の批判を浴びます。
しかし再度のチャンスを掴み、見事に作戦を成功させます。
実際の木村少将はどうだったかは判らないのですが、映画中で、大竹少将はクラスビリの成績だったとして描かれています。
先の太平洋戦争において、日本軍は学科成績の良かった者のみをトップに据えた為に、軍人でありながらすっかり官僚化してしまい、将官は政治に興じ、参謀は同じ作戦ばかりを繰り返し、日本を滅ぼしてしまいました。
大村少将は、日本軍トップの硬直化した頭脳とは一味違った人だったようです。


映画「日本海大海戦」
DVDにて鑑賞
東宝の戦争映画。1969年作品。
日露戦争に於いて、東郷平八郎提督率いる連合艦隊が、精強を誇るロシアバルチック艦隊を完膚なきまでに破った史実に基づく映画です。
日露戦争の海軍作戦をほぼ駆け足で描いた感がありますが、概ね史実に基づいてあり好感が持てます。
また東映映画に良くあるお涙頂戴的なあざとい演出(「男たちの大和」や「二百三高地」はホントにひどいものでした)もないので、安心して見られます。
僕だけなのかも知れませんが、くどくどと戦死者のでるクサい戦闘シーンを見させられ、そのうえ歌など延々と聞かされた日には吐き気さえ催します。
攻撃側のシーンがあり、カメラがパーンしたら遠景には戦死者ばかりと言う演出の方がはるかに凄味を感じます。
(黒澤明監督の『影武者』でも確かこんな演出がありました。これはものすごい迫力でした。)
あっさりしている様で、旅順要塞攻城戦のシーンは実に見ごたえがあります。

司馬遼太郎氏の小説『坂の上の雲』を読んで、時代の雰囲気が判らない人には一度見る事をお勧めします。

特に海戦シーンは圧巻で、模型による撮影ですが迫力十分です。
いま果たして、これだけの映像が出来るかどうか。
CGなんか眼じゃない。
実写のミニチュアで作っているゆえのバーチャルではない迫力を感じます。



あれっ????
今回、戦争映画ばっかりだ!
次は、違うジャンルのものを・・・


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